このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-4
 

それでも顔に出ちまうよ。馬鹿だな俺も。

顔に出して
気持ちを表したなら
他人さんはお見通しさ・・・
心の中の
隠し妻のことは
――今はがまん
――今は秘密

色(いろ)に出でて
恋(こ)ひば 
人見て
知りぬべし
心の中(うち)の
隠(こも)り妻はも 
(作者未詳 巻十一の二五六六)

>>解説
「色に出でて」「恋ふ」というのは、顔色や表情に出してしまうこと。「隠り妻」とは、まだ社会的に公表していない内縁関係にある妻をいう言葉。つまり、二人は他人の前では、無関係を装っていたのであろう。何時公表するか、誰から話すか、そこに処世術の機微がある。


 
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