このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-9
 

あんなバカなヤツに惚れるとはねぇー。

どうせ嘘をつくんだったらさ
もうちょっとほんとらしく言ってちょうだいよね――。
いったいいつの時代から
あったばかりの人に
恋焦がれて死ぬなんて・・・
しらじらしく言うようになったのかしら。
最近はこれだからね。まったく!

偽(いつは)りも
似付(につ)きてぞする
何時よりか
見ぬ人恋(こ)ひに
人の死にする
(作者未詳 巻十一の二五七二)

>>解説
「見ぬ人恋ひに 人の死にする」はわかりにくい表現だが、見たこともない人に恋をして、そのために死ぬということである。まだ、知り合って間もない相手から、突然言い寄られたのであろう。そこは、お見通しで、男が欲しいのは、金か体かと女は覚ったのだろう。冒頭の二句は、「馬鹿も休み休み言いなさい」というくらいの意味に解釈してよい。


 
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