このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-10
 

テレパシーって、あると思う?

男から女への問い
恋人がやって来る日はね
念力が働くって知ってた?
相手が思うとね・・・
眉毛は痒くなって、鼻はむずむず、紐はほどけるんだってさ。
さてさて、眉毛は痒くなった?
鼻はむずむずした?
下着の紐は解けかな? 今日は――。
待っていてくれた?
早く逢いたいと
やって来た俺っちのことをさ!

眉根掻(まよねか)き
鼻(はな)ひ紐解け
待てりやも
いつかも見むと 
恋(こ)ひ来(こ)し我(あれ)を
(作者未詳 巻十一の二八〇八)

女から男への答え
今日はそうだったんだー
なんだか眉毛は痒くなっちゃうし
鼻はむずむず、くしゃみが止まらなかったのは
アナタのせいだったのねー・・・

今日なれば
鼻の鼻(はな)ひし
眉(まよ)かゆみ 
思ひしことは 
君にしありけり
(作者未詳 巻十一の二八〇九)

>>解説
いわゆる「俗信」に関わる問答である。今でいうなら、思いにきびと、思われにきびというところか。相手への思いが強いと、それが念力となって、相手に伝わり、相手の体に異変を起こすことができると当時は考えられていたのである。
今なら携帯電話で連絡を取り合うところだろうが、万葉の時代はそうは行かない。でも、恋人が来る前兆を体で感じたのである。


 
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