このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-11
 

逢ったら、逢ったで、別れるとまた淋しいんだよねぇ。

男から女への問い
噂だけ聞いて
恋いつづけるのがよいか? ソレトモ・・・。
直接逢って
その後、長い長い淋しい淋しい時間に苦しむのがよいか・・・?
――それが問題だっ!

音(おと)のみを
聞きてや恋(こ)ひむ
まそ鏡(かがみ)
直目(ただめ)に逢(あ)ひて
恋ひまくもいたく
(作者未詳 巻十一の二八一〇)

女から男への答え
アナタのそのお言葉を
お月さんも聞こうと思っていらっしゃるのかしら・・・
輝いていたお月さんも
涙で曇ってきましたわ
ほら

この言(こと)を
聞かむとならし
まそ鏡 照(て)れる月夜(つくよ)も 
闇(やみ)のみに見つ
(作者未詳 巻十一の二八一一)

>>解説
さしずめ演歌なら「逢えばつのるは、別れのつらさ。あぁ、ほんに切ないお月さん」というところか。逢うことの歓びと、逢って別れた後のつらさ、それがこの歌の主題である。「まそ鏡 照れる月夜(つくよ)も 闇(やみ)のみに見つ」とは、照る月さえも闇と見えるというのだから、悲しみは深いのである。


 
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