このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-13
 

やっぱり、彼氏がはじめて家に来る日ってプレッシャーだよね。

女から男への問い
アンタがね
来るとね、前々からわかってたらさ
草ボウボウのね庭であってもだよ、これが。
きれいな小石でも撒いておくんだったよ
そうすりゃ、カッコついたんだけどねー・・・
ゴメン!

思(おも)ふ人 
来(こ)むと知(し)りせば
八重(やへ)むぐら
覆(おほ)へる庭(には)に
玉敷(たまし)かましを
(作者未詳 巻十一の二八二四)

男から女への答え
ええっ・・・何いってんだい
小石敷いた家なんて
いらねぇよ、そんなもん。
草ボウボウの小屋だってさぁ
オメェと居りゃー
――そりゃー、そりゃー

玉敷(たのし)ける
家(いへ)も何せむ
八重(やへ)むぐら
覆(おほ)へる小屋(をや)も
妹(いも)と居(おり)りてば
(作者未詳 巻十一の二八二五)

>>解説
「八重(やへ)むぐら 覆(おほ)へる庭」とは、つる草に覆われているような庭。まあ、荒れ放題なのだろう。女は、男の突然の訪問に、ゴメンねぇー、こんな状態でぇー、と詫びているのである。しかし、それはいわばご挨拶。別に気にしている風でもない。「玉を敷く」という表現は、オーバーにいって笑いを取ろうとするものである。男も、そのあたりはお見通しで、おんぼろ小屋でも、お前といっしょならいいよ、と洒落込んでいる。ヤルコトデキリャイインデショ、という呼吸があるように思われる。下品な解釈とはなるが。


 
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