このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-19
 

好きな人のことを忘れる薬があったら、どうする?

これを身に付ければ恋人のことが忘れられるという忘れ草
下着の紐につけてはみたが・・・
そんな草は役立たずのコンコンチキさ、効き目なし――
名前だけだった、俺様としたことがあほ草!

忘(わす)れ草
我(あ)が下紐(したひも)に
付けたれど
醜(しこ)の醜草(しこ)
言(こと)にしありけり
(大伴家持(おほとものやかもち) 巻四の七二七)

>>解説
大伴家持が最愛の妻、大伴坂上大嬢(おほとものさかのうえのだいじょう)に贈った歌。この歌を贈る前の数年間は、二人の関係は冷えきっていた。夫婦にも歴史ありである。
『万葉集』は、二人の愛情の起伏を伝えているのである。忘れ草は、忘れるためにつける草、現在でいう「かんぞう」である。でも、そんな草は役に立たなかった、やっぱり君のことは忘れられなかった・・・と歌っているのである。


 
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