このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-21
 

恋の重さって、量れるの?

俺の恋ってどれくらいのものかって?
俺の恋はね・・・
千人が力を合わせないと動かない石
そいつを七つばかり首に掛けるくらいさ
――そんな重さも何とやら、神様の思し召しのままさ
――神様のみぞ知るだ!

我(わ)が恋は
千引(ちび)きの石(いし)を
七(なな)ばかり
首(くび)に掛けむも
神のまにまに
(大伴家持 巻四の七四三)

>>解説
大伴家持が、大伴坂上大嬢(おほとものさかのうえのだいじょう)に、自らの気持ちを訴えた歌の一つ。「俺の恋ってどれくらいのものかって?」という部分は、二人の歌のやり取りを想定して、補ってみた。重いのは、噂、一族を背負う重圧、それとも行く末の不安か。「あえていうなら、そんなもんかな」という表現の妙があって、おもしろい歌である。


 
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