このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-23
 

桜っていいよね、皆に惜しまれながらパァーとゆくもんね。

桜の花は――
命の時を過ぎたわけでもないのに散ってゆく
見る者の心を虜にして・・・
それを意識してか、恋の盛りに、今散ってゆくのでしょう
散りぎわがわかっている桜の花はエライ!

桜花(さくらばな)
時(とき)は過(す)ぎねど
見る人の
恋(こひ)の盛りと
今し散(ち)るらむ
(作者未詳 巻十の一八五五)

>>解説
恋歌というわけではないが、取上げてみた。それは、恋の美学のようなものを感じたからである。花のあるうちに散る。恋々とせずに、パァーと身を引く。そういう生き方に、日本人は喝采を送ってきた。「惜しまれるうちが花だよ」と誰もがいい。日本人は、桜のような散りぎわを愛したのである。
「散りぎわを心得ている桜の花はエライ!」と補ったように、恋も引きぎわが難しい。


 
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