このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-24
 

人生もリセットできないのかな・・・

冬が過ぎ
春がやって来ると・・・
年と月は新しくなるけれど
人はまた一つ、歳取っちゃうんだよね
人生もリセットできないかな

冬過(ふゆす)ぎて
春し来(きた)れば
年月(としつき)は
新(あら)たなれども
人(ひと)は古(ふ)り行く
(作者未詳 巻十の一八八四)

>>解説
春がやって来ると、年や月は新しくなるのに、人間は古くなるだけ・・・と嘆く歌。「人生もリセットできないかな」は、もちろん作者の心をとらえてつけた訳者の蛇足である。もう、「誕生日はいらんわ」とある年齢以上の女性はいうが、そんな嘆きは万葉の時代からあったのである。

そりゃ 物はみんな新しいのがいいさ

でもね
人間だけは古くなるのがいいんじゃない!?

物皆(ものみな)は
新(あらた)しき良(よ)し
ただしくも
人は古(ふ)り行く
宜(よろ)しかるべし
(作者未詳 巻十の一八八五)

>>解説
前者の歌を受けて、フォローしてなぐさめた歌。春になると歳を取ると歌ったのに対して、いや人だけは年を取ったほうがいい、と返している。私は四十四歳になるが、いい年の取り方をしている先輩にはあこがれる。ああいうふうに、枯れたいものだと思う。また、年を取っても恋もしたいとも思う。ちょっと、恥ずかしいけど。


 
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