このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-26
 

うれし恥ずかし、朝帰り・・・

朝、戸を出てゆくあなたを
よーく見なかったワタシ
――長い、ながーい春の一日
――どう待ち暮らせばいいのかしら

朝戸出の
君が姿(すがた)を
よく見ずて
長き春日を
恋ひや暮らさむ
(作者未詳 巻十の一九二五)

>>解説
「朝戸出の君」とは、「朝、戸を出てゆくあなた」という意味である。つまり、一夜を伴にして、女は朝、見送るのである。すると、なぜ、戸を出てゆくときに、よく姿を見なかったか、と読者は考えてしまう。恥ずかしかったからか? 
おそらく、よく見たのであろうが、まだ惚れた男を見たりないのであろう。第一、見飽きることなんてあり得ない。それが恋というものだ。加えて、戸の外まで見送ると、ご近所の眼がうるさいのである。


 
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