お母さんに話すって、どうよ? 最初に彼氏のこと。
こんなにも、こんなにも
恋しくて、恋しくて
死にそうになったわたし
だからすべてを母に告げました
――そしたら、オーケーだって
――だから、安心して!
――だから、休まず通ってきてちょうだい!
かくのみし
恋(こ)ひば死ぬべみ
たらちねの
母(はは)にも告(つげ)げつ
止(や)まず通(かよ)はせ
(作者未詳 巻十一の二五七〇)
>>解説
妻訪い婚では、娘の家に男が通うことになる。その場合、第一関門は、母の承諾となる。母の許可がない限り、男は母子の住む家に通うことはできない。娘は、意を決して、母に好きな男のことを告げたのである。結果は、万万歳! 母の許しを得たのであった。してみると「止まず通はせ」は、ずいぶんチャッカリした表現というべきか。
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