千回死んで、千回生返る恋
恋の病で死ぬなんて
そんなの真っ赤な嘘・嘘・嘘!
そんなきまりがあるんだったら・・・
だって、わたしって千回死んで、千回生き返ったことになる
もの――
恋するに
死にするものに
あらませば
我(あ)が身は千度(ちたび)
死に反(かへ)らまし
(作者未詳 巻十一の二三九〇)
>>解説
作者が訴えようとしているのは、自らの思いの深さであり、悩みの深さである。けれど、それでも私は生きている。死ぬほど悩んではいるけれど・・・と歌っているのである。この理屈ぽい言い方に、強がりと滑稽さとが読み取れて、この歌の持ち味となっている。悩む自分を見られたくない人は、気を使って滑稽に振舞うことがある。 |