このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-39
 

女がその気になっている時に、グーグー寝てしまった男 ・・・翌朝の弁明。

確かに昨夜は・・・
火照った柔肌に指一本触れずに
寝ちまったよ、俺は――
でもね、心変わりしておまえを嫌いになったわけじゃない
そこは、信じろよ!

あからひく
肌(はだ)も触(ふ)れずて
寝(ね)たれども
心を異(け)には
我(わ)が思(おも)はなくに
(作者未詳 巻十一の二三九九)

>>解説
「あからひく」は、赤みを帯びた肌をいう言葉。「心を異(け)には」は、ここでは心変わりをして、ほかの女に惚れたことをいう。どうも、男は、女の気持ちも考えず、グーグー寝てしまったようだ。これは一大事。翌朝慌てての弁明となった次第である。男の言い分は、「心変わりなんてしていないよ、共寝だけが愛情表現じゃないだろう」というところか。


 
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