このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-59
 

旅先でワタシのこと感じてね。

あなたが旅する
海辺の宿で
もし、霧が立ったら・・・
わたしがね、都で嘆いている息だと思って
わたしのこと、思い出してくれる――

君がゆく
海辺(うみへ)の宿に
霧立(きりた)たば
我(あ)が立ち嘆(なげ)く
息(いき)と知りませ
(作者未詳 巻十五の三五八〇)

>>解説
唐に送り出された使節が「遣唐使(けんとうし)」であるのに対して、新羅(しらぎ)に送り出された使節もあった。それが、「遣新羅使(けんしらぎし)」である。『万葉集』巻十五は、天平八年(七三六)に新羅に派遣された人びとの歌を伝えている。この歌は、愛する男を新羅に送り出した女の歌。わたしの嘆息が、霧となってあなたの旅の宿に顕れるでしょう、と女は旅立つ男に歌いかけたのである。


 
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