このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-62
 

遊びと結婚は違うのよ・・・これは『万葉集』の時代からの警告です。

西の市場にさぁ
ひとりで買い物に行ったのよ
そこでね、よく見比べもしないでさ
買っちゃった絹があるのよ
それが、それが大失敗の巻
――買い損ない
――男もよく見て選ばないと痛い目にあうよ!

西(にし)の市(いち)に
ただひとり出(い)でて
目並(めなら)べず
買ひてし絹(きぬ)の
商(あき)じこりかも
(作者未詳 巻七の一二六四)

>>解説
市場は、人・物・金が集まるところ。今でいえば繁華街。
そこで、一目ぼれしたいい男、けれども見掛け倒しで、結婚相手としては最悪だった。困った、困った・・・というところか。絹は高価なものなので、買うには迷いもあるだろうし、決断力もいる。そのあたりが、結婚とよく似ているので、このような寓意に使われたのであろう。女歌として訳したのは、絹を買ったのは女であろう、との判断からである。


 
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