このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-64
 

アイツ、どうしているかなぁ・・・。

昔ね
橘寺の宿舎にさ
しけこんで寝た
束ね髪のあの子は
もう髪上げの成人式をすましたかな
――結婚したのかな?
――どうしているのかな?

橘(たちばな)の
寺(てら)の長屋(ながや)に
我(わ)が率寝(ゐね)し
童女(うなゐ)放(はな)りは
髪上(かみあ)げつらむか
(作者未詳 巻十六の三八二二)

>>解説
若き日の過ちを回想し、共寝をした女の今を案じた男の歌。長屋は、文字通り長い建物であるが、ここでは寺のなかにあった宿舎であろう。髪上げは、女の成人式ともいうべきもので、それまでは伸ばしていた髪を結い上げるのである。髪上げが終わると、一人前となり、結婚もできることになる。今なら、若気の至りでは済まされないが、男はその女のことを気にかけているのである。


 
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