このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-67
 

落ち込んで、何もできないわたし。

もう何日?・・・と
ひとりで寝た夜を数えようと思うけれど・・・
激しくゆれるわたしの思いに・・・
数え切れない――

ひとり寝(ぬ)る
夜(よ)を数(かぞ)へむと
思(おも)へども
恋(こひ)の繁(しげ)きに
心(こころ)どもなし
(作者未詳 巻十三の三二七五)

>>解説
巻十三の「相聞」に収められている一首。この歌は、独寝の苦しさを歌った長歌に付いた反歌である。男と別れて、不安な夜に、寝ることもできない様子を歌っている。「心(こころ)どもなし」は、精神状態が不安なことをいう。女は一人で寝た夜を数え切れないほど、落ち込んでいるのである。


 
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