このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-69
 

これって、一生に一度だろうなーと思ったとき

この世に生まれて
これまで恋というものには出逢ったこともなかった・・・
だから、だから世界の恋のなかで
いちばん苦しい恋をしているかも、私――

生(い)ける代(よ)に
恋といふものを
相見(あひみ)ねば
恋(こひ)のうちにも
我(あれ)ぞ苦しき
(作者未詳 巻十二の二九三〇)

>>解説
「恋といふものを 相見(あひみ)ねば」は、はじめて出逢った恋ということである。正確にいうと「恋というものに出逢ったこともなかったので」ということである。つまり、恋というものなんて、わたしにとっては縁のないもの・・・と今までは考えていたのであろう。だから、苦しいのである。
男歌ともとれるが、訳は女歌として作ってみた。


 
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