このページは、「小さな恋の万葉集」に発表した訳文をかかげたページです

恋歌-70
 

物を思うから苦しくなる。だったら、いっそ心を取っちゃおうか?

これほど苦しむものならば
恋なんかせずに・・・
いっそ、石か木にでもなりたいものだ
物思いなんかせず!

かくばかり
恋ひつつあらずは
石木(いはき)にも成(な)らましものを
物思(ものおも)はずして
(大伴家持 巻四の七二二)

>>解説
家持が恋の苦しさを詠んだ歌。石や木はいいよ、だって物思うことないし、恋もしないしね・・・というところか。ところで、時たま、恋の相談を受けるが、自慢じゃないが、今まで役に立ったためしがない。そのとき私は、恋の苦しみを知ってこそ、人生の味わいがはじめてわかるものだ、ということを何度か話したことがある。評論家的言葉に、相談に来てくれた人には、屁のツッパリにもならなかっただろう・・・ゴメン。


 
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