このページは、上野が2006年に発表した「おもしろ古典教室」の中から1節ずつ、
本編をホームページ上で楽しんでもらうためのページです。
1週間に1度、1章分(全11回)更新します。さあ、どうぞ。

おもしろ古典教室-2
 

本を読むと、立派な人になれるというのは間違い

ところで、本を読んだら、人格形成に役立つという人がよくいますが、そんなのははっきりいってウソだと思います。わたしは、多くの碩学や学界の頂点に立った人に出逢いましたが、なかには二度と逢いたくないという人もたくさんいます(心の小さな人、強欲な人、公平でない人などなど)。読書家は人格者であるとか、スポーツをすると立派な人になれるという考え方は、間違いだと思います。本を読んだり、学問をしたり、スポーツをしたりすることが、一つの人生修行になるというのは、教養主義と呼ばれる考え方です。たしかに、そういう面もあるでしょう。

 でも、古典についていえば、わたしはそういう教養主義的な古典教育が、古典のほんらい持っているたのしさを半減させているとさえ思っています。思い起こしてみると、わたしは高校時代の現代国語や古典の授業が嫌いで嫌いでたまりませんでした。

 本をたくさん読んだからといって「良い人」になれるわけではありません。どんな人が「良い人」なのか、考えるヒントになることはあっても。

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