僕もじつは……古典も現代国語も嫌いでした とくに、読んで感動したふりをしなくてはならないのが一番苦痛でした。本を読めば、感動して、人間が成長するもんだということをお約束ごとにして教育するわけですからね。だから、課題として書かされる読書感想文なんてぇものは、適当に作品を誉めておきゃ、合格点がもらえますよ。教科書を作った人も、教える先生も、その文章がいいと思っているから教科書に載せたり、教材にしたりしているわけです。それに逆らって「おもしろくない」とか、「くだらない」とかいっちゃ、いい点数なんてつきっこありません。さらに、文法の「かきくくけけ」とか「せ○きししか○」とかは、お経かなんかの唱え言のように思えて嫌だったなぁ。第一、教科書に載っている教材がおもしろくない! 「そんなのどこがおもしろいの? ぜんぜんおもしろくないよ」と思いながら、まぁ高校の卒業証書をもらうため、月謝を出している家族のために、いちおう授業を受けるふりをしていました。そんな高校生だったわたしが、古典の先生としてこの本を書いているんですから、不思議なことです。人生は、わからない。
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